幻獣と魔物

幻獣は、獣の中でも特に強い力と特殊な能力を有する一方、
人間の「負の感情」に敏感な生き物である。
幻獣と分類されているものの、人間に近い姿をとるものや竜のような姿のもの、
言葉を話すもの、特殊な力をほとんど持たず動物に近いものもいることから、
幻獣とその他の生き物との線引きは非常に曖昧である。

人間に勝るとも劣らないほどに数が多く、種類も多岐にわたる。
種類によって性質が全く異なる。
各幻獣の詳細は「種族/幻獣」を参照のこと。

◎幻獣と魔物の違い

幻獣が負の感情にあてられ続け、自我を失い人を襲うようになったものを魔物と呼ぶ。
また、幻獣のなかでも特に強い力を有するリーダー格の者を神獣と呼び、
神獣が魔物化したものを魔獣と呼ぶ。

◎性質

幻獣は本来優しい性格で、人を襲うことはない。
かつては人や竜とともにごく当たり前のように共存していた。
幻獣は高い知能と人間よりもはるかに高い能力を有することが多い。

しかし幻獣は非常に繊細かつ敏感な生き物で、人間の感情の影響を受けやすい。
恨みや憎しみといったいわゆる「負の感情」にあてられ続けると、
飢えや渇き、破壊衝動に駆られる「負の衝動」に襲われる。
負の衝動は繰り返すうちに強くなり、やがて自我が崩壊し、
衝動のままに他を襲う魔物となる。
つまり魔物は幻獣が負の衝動に苦しみ続けた末のなれの果てである。

ただし、夜の黒竜の存在自体が幻獣の負の衝動を抑えているため、
ライエンが封印されるまでは実質的に負の衝動とは一切無縁だった。
負の衝動については「キーワード/負の衝動」を参照のこと。

逆に、愛情や喜びといった「正の感情」の中に身を置いていた幻獣は、
普段よりも格段に高い能力を発揮することが多い。
その力は仲間のため、自然のため、そして信頼する人のために使うことで高い効果を発揮し、
また幻獣自身にも負の感情に対する包容力と抵抗力を高める効果がある。
ただし、正の気が強すぎても、力が強くなりすぎて制御がきかなくなるため、
正の気と負の気のバランスを保つことが重要である。

◎人間にとっての幻獣と魔物

人間は幻獣と魔物を混同している者が非常に多く、
見た目や先入観で幻獣と魔物を線引きしてしまうことがほとんどである。
人間にとって害のないものを幻獣、害のあるものを魔物と呼ぶのが一般的なようである。
そのため、「人間にとっての幻獣」はペットとして飼われていることもあるほか、
品評会に出されたり競技大会に飼い主とともに出場するケースもある。
一方で、飼っていた幻獣が(まわりの負の感情の影響で)突然凶暴化し、
暴れまわるという事件もたびたび起こっている。

幻獣と魔物を混同してはいるものの、
幻獣の凶暴化は決まって人々が争いを始めたときにおこるので、
負の感情が幻獣に影響を与えていることは人間達も薄々気付いてはいるようである。